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学校と地域密着
弊社は学習塾のコンサルティングも手がけています。今回は、学習塾との比較で「地域密着」を考えていきましょう。そうすることで、学校の地域密着の実態が浮かび上がってきます。
「地域密着」を掲げる学習塾はそれこそ山ほど見かけます。しかし、それは、大きな労力を使い、意図して密着しようと努力している地域密着です。語弊はあるかもしれませんが、そういう意味では「演出型の」地域密着です。
そんな学習塾の地域密着とは比べ物にならないのが、実は学校の「地域密着」です。
学習塾は大きくなる過程で必ずブランチを出します。ブランチとはいわゆる「支店」です。本部校の周辺に衛星的な校舎をいくつか開校します。
このような「拠点校―ブランチ校」という教室の塊をA地域→B地域→C地域と展開していき、規模を大きくしていくのです。
この展開の利点はすぐにお分かりいただけるでしょう。
一つは生徒数の確保。地域に満遍なく教室を開き、単体の教室で生徒をそれぞれ集めるとともに、一定の距離間に複数の教室を展開したことによる相乗効果(広告効果)の生徒集客も期待できます。
また、リスクヘッジという点でも有利です。ブランチ教室の状態が悪ければ拠点校や他のブランチ校から支援ができます。極端に悪い教室は閉校し、他の教室に注力することもできます。
A地域にある教室を丸ごと引き上げ、B地域、C地域の教室で勝負することだって考えられます。地域密着とはいえ、塾も企業ですから、赤字の教室を長年も抱えておくわけにはいきません。
演出型の地域密着ですから、どうしてもその地域に留まる必要はないのです。
さて、ここで学校です。
もうお分かりでしょうが、学校はブランチを出せません。複数教室を展開することは不可能です。
場所も動かすことはできません。公立ではまず不可能ですし、私立でも容易ではありません。A地域で子供が減ってきたからといって、B地域へ移動することはできないのです。
その場所から動けず、塾のように複数の教室を展開することもできず、単一でやっていくのが学校なのです。
そういう意味で、学校は最高の地域密着です。演出型の地域密着に対し、「不動型の」地域密着と言えるでしょう。好む好まないに関わらず、否応なしに地域密着なのです。動かないからこそ地域に根ざしていなければ駄目なのです。
もし、地域に根ざさない方向を目指すとするならば、知的アスリート養成校か、肉体的アスリート養成校になるしかありません。
知的アスリート養成校の典型は、開成・灘。肉体的アスリート養成校では、甲子園の常連校もそうですが、野球以外のスポーツも強い学校となると、東福岡、青森山田といった学校でしょうか。
大進学校か大スポーツ校になれば、その地域に根ざさなくても他の地域からたくさん生徒が集まるので何も問題はないのですが、そのような学校は全国でもほんのごく一部です。
だからこそ、学校はとにかく地域評判を高めなければならないのです。
ところが、これがまた問題なのですが、不動型の地域密着であることから、学校はその「歴史性」に非常に強く影響されます。
どういうことか。
昔の学校評判を今に引きずるケースが少なくないのです。悪い評判が、悪いまま今に伝わっているのです。
たとえ現在は改善されていたとしても、その学校が悪かった当時に中学・高校生だった今の保護者は、昔のイメージのまま「そんな学校に行くな!」と言う可能性が非常に高いのです。
歴史を覆すのか、覆えすことなくそのまま甘んじるのか。この点も学校経営で重要です。学校経営は歴史との戦いであるとも言えるのです。
まとめます。
『学校は、不動型の地域密着であるがゆえに過去の歴史が色濃く反映されてしまう』。これもまた学校の持つ本質の一面です。
歴史を覆すのは確かに容易ではありません。しかし、あきらめることはありません。歴史と戦い、昔のイメージを払拭した学校もたくさん存在します。

